つらつらわらじ
(Tsuratsura Waraji) 草鞋武士-備前熊田家出勤記
江戸へ參勤、國へ交代。二年に一度のビッグトリップ。
「備前蜂」の紋を掲げた岡山藩熊田家。
寛政の改革で倹約を謳う徳川幕府に殿様は、家老たちの悩みの種だ。
そして、今年の江戸への道中には、いつもと違う何かが待っているのだ。
時は寛政、江戸も半ばを過ぎた頃、「備前蜂」の紋を掲げた熊田家藩主·治隆は、家臣と人足たち數百人を引き連れて、參勤の旅に出た。行列には、治隆を疎んじる幕府老中·松平定信の密偵も紛れ込む。江戸までの道のりは、その距離以上に長く、波亂に満ちていた。